男性経験が全くないことにコンプレックスを持つ女の子は意外と多い。
冒頭のDMを送ってきてくれた美羽もそんな女の子の一人だった。
女の子から口にするのは本当に恥ずかしいはずである「抱いてください」という内容のメールをいただけることは男冥利に尽きるのだが、僕は“処女”は一時の感情に流されて捨てるべきものではないと考えている。
揺るぎない信念のもと、すぐにでも会う日程を調整したい気持ちをグッと抑えて彼女の決意を確認するための返信を送った。
我ながら面倒くさい男だ。
でも、だからこそ一時の気の迷いで僕に処女を捧げようとしている女の子ならここでやりとりが途絶え、ほんの少しでも考え直すこともあるかも知れない。
まぁ、今まで僕にこの手のDMを送ってきた女の子たちは、誰一人として“考え直す”などという選択肢は持ち合わせていなかったわけだが。
美羽も例に漏れず、僕がツイッターでエッチな内容を投稿するようになった頃からこっそりアカウントを見てくれていたことや「初めてはこの人にお願いしよう」と心に決めてくれていたことを長文にしたため、決意のほどを見せてくれた。
女の子にソコまで言わせておいて恥をかかせるようなことは僕にはできない。
…とか何とか言ってみるが、本音は僕も所詮は一匹のオスだ。
自分を初めての相手として選んでくれた女の子を優しく抱きしめたいと思うのは自然な反応だろう。
何通かのDMのやりとりを経て、僕たちは翌週の土曜日の午後にお会いする約束をした。
やりとりの中で彼女自身についても最低限、話を聞かせてもらった。
18歳の専門学生だと言う美羽。
中高生の頃に彼氏がいた事はあるが、DMをくれた当時はお付き合いしている特定の男性はいないという話だった。
約束の時間の20分ほど前。
「少し早いんですけど、着きました。」
到着を報せる短いDMと共に、その日の美羽の服装を伝えるための首から下の写真が届いた。
僕も既に到着して近くのカフェにいたので、カップの中身を飲み干して彼女の元へと急いだ。
彼女が待ち合わせ場所に選んだのは梅田のBIGMAN前。
土曜日のお昼過ぎということもあって、人気の待ち合わせスポットであるこの場所はかなりの人でにぎわっていた。
多くの待ち合わせ客の中から、届いたコーデの写真を頼りに美羽を探す。
僕は送られてきた写真と同じ服の女の子を見つけて声をかけた。
美羽はとても小柄で可愛らしい女の子だった。
パッチリ大きな目が印象的でどことなく女優の今田美桜さんを思わせる。
その場で突っ立ったまま話しているのも不自然なので、僕は彼女を促してホテル街のある方向へと歩き始めた。
美羽はかなり緊張している様子だった。
ネットで知り合った男と身体の関係を持つことを目的として会っているという状況を考えると、むしろ緊張しない方が不自然だろう。
それでも、ホテル街と呼ばれるエリアに入る頃には彼女の表情もだいぶ柔らかくなり、会話の中で時折見せる笑顔や悪ノリからも僕が危険な人物ではないことは理解してもらえているように感じた。
形式上の最終確認を済ませ、僕たちは立ち並ぶラブホテルの中から比較的キレイに見える建物を選んで中に入ると、煌々と光るパネルから部屋を選んでチェックインした。